脂質異常症とは
血液に含まれる脂質が異常値を示す病気です。一般的には、健康診断や人間ドックの際に指摘されることが多いコレステロールや中性脂肪の値が問題となります。
具体的には、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が140mg/dL以上、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が40mg/dL未満、中性脂肪が150mg/dL以上を指します。
脂質異常症のみでは基本的には症状はありません。症状がないにも関わらず「病気」とされている理由は、脂質異常症は動脈硬化、特に心筋梗塞など心血管病の発症リスクとなるからです。
このようなリスクを低減させるためにも、健診などで脂質(コレステロール、中性脂肪)の異常の指摘を受けた方は、症状がなくても一度当院にご相談ください。
検査について
まず続発性脂質異常症という、脂質に異常をきたす他の原因がないか検査します。糖尿病、甲状腺機能異常、脂肪肝、肝不全、腎不全などが知られており、血液検査や腹部超音波検査を行います。
また動脈硬化の有無を検査するために頚動脈エコーを行い、脳につながる首の血管のプラークの性状を評価したり、動脈の硬さをみる脈波検査(ABI/PWV)で血管の評価を行います。さらに心電図や心臓超音波検査を行い、疑わしい場合は心臓CT検査で狭心症や心筋梗塞の有無を検査します。
治療について
高血圧と同様、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」という治療方針が定められており、患者さまごとにコレステロールや中性脂肪の目標値が異なります。それに基づいて、食生活・運動などの生活指導を行うほか、脂質を低くするスタチンと呼ばれる薬を合わせて内服することがあります。できるだけ薬は少なくすむよう考慮しますが、スタチンを用いて脂質、特に悪玉と呼ばれるLDLコレステロールを低くすることで、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクを下げることが多くの臨床研究で確かめられています。当院では正確な情報を提供し、脂質異常症の正しい診療を行うよう努めていきます。